「買いを閉じるつもりでSellを押したのに、買いと売りが両方残った」「逆に、買いと売りを持ちたかったのに、一つの建玉になってしまった」。MT5では、口座が採用する建玉の管理方式によって、同じ反対方向の新規注文でも結果が違います。
公式ヘルプが区別するのは、Netting(ネッティング)とHedging(ヘッジ)です。ネッティングでは同じ銘柄の建玉がまとめられ、反対方向の取引で減少・決済・反転します。ヘッジでは同じ銘柄に複数の建玉を持つことができ、反対方向の新規取引をすると別の建玉が追加されます。管理方式は口座に依存し、業者が設定します。[M1]
この記事では、反対売買と建玉指定決済を区別し、数量、損益、残る注文を確認する手順を説明します。確認日:2026年10月2日。MT5公式資料に基づく説明で、特定業者の現行口座すべての設定を調べたものではありません。計算は架空条件、操作は公式手順の案内であり、実口座の取引体験ではありません。
最初に結論:買いを閉じたいなら、対象建玉の決済を確認
買いを終わらせたいとき、チャートのSellから新規売りを出すことと、取引タブで買い建玉を指定してClose Positionへ進むことは、同じ操作ではありません。ヘッジ口座では、対象の決済を明示しない反対方向の新規注文が、新しい売り建玉になることがあります。[M1][M2]
ネッティング口座では、反対方向の数量に応じて既存建玉を減らせます。ただし、数量を大きくしすぎると、全量を閉じるだけでなく、反対方向の建玉を残すことがあります。「Sellを押せば全部終わる」という覚え方では、こちらの口座でも数量を間違える可能性があります。[M1]
操作の目的 | 先に確認すること | 操作後の確認 |
|---|---|---|
買いを全量閉じる | 対象建玉と決済数量 | 買いの残数が0か |
買いを一部閉じる | 保有量と閉じる量 | 残る買い数量と保護条件 |
買いと売りを併存させる | ヘッジ方式と許可条件 | 別建玉として両方あるか |
買いから売りへ反転する | 管理方式と必要取引量 | 新しい売り数量 |
両建てを解消する | 両側の数量・同一銘柄 | 片側の余りがないか |
この表は注文の成功や価格を保証するものではありません。実際の可否は、口座の制限、銘柄の状態、数量、証拠金、注文結果で確認します。まず目的を一つに決めると、画面上の買い・売りボタンに振り回されにくくなります。
注文・約定・建玉を分ける
MT5の公式資料では、Order(注文)、Deal(約定)、Position(建玉)を区別します。注文は業者へ送る指示、約定は成立した売買、建玉はその結果として保有している取引の状態です。一つの注文が、状況によって複数の約定に分かれることもあるため、行の数をそのまま保有件数と同じにしません。[M1]
ヘッジ口座で買い0.10ロットに新規売り0.10ロットを追加した場合、約定履歴には売りの成立があり、取引タブには買いと売りの建玉が残ります。売りの約定が一つあることだけでは、買いが決済された証拠になりません。現在の保有を取引タブで読む必要があります。
ネッティングでは、一つの建玉を複数の約定で増減することがあります。買いを追加すれば保有量が増え、売りで一部を減らせば保有量が減ります。履歴の買いと売りの行だけを数えると、まだ新しい取引が二つ残っているように見える場合があるため、建玉との関係を確認します。
ネッティングは、同一銘柄の純数量を一つにまとめる

ネッティングの基本は、同じ銘柄で一つの合計建玉を持つことです。同方向の取引は保有量を増やし、反対方向の取引は数量に応じて減少、全決済、反転へつながります。別の銘柄の建玉までまとめる機能ではありません。[M1]
架空例として、EURUSDの買い0.10ロットがあるとします。買い0.05を追加すれば、合計買い0.15になります。売り0.04を実行すれば、買い0.06が残ります。売り0.10なら買いはなくなり、売り0.15なら買い0.10の解消後に売り0.05が残るという数量の考え方です。
元の建玉 | 新しい売り取引 | 数量計算上の結果 |
|---|---|---|
買い0.10 | 0.04 | 買い0.06 |
買い0.10 | 0.10 | 保有0 |
買い0.10 | 0.15 | 売り0.05 |
この表は、全量が成立し、ほかの取引が同時に入らない仮定です。EAが並行して取引したり、要求の一部だけが成立したりすれば、現在の数量は計算例と異なります。実際の約定数量と、操作後の建玉を必ず照合します。
ヘッジは、同じ銘柄の建玉を分けて持つ
ヘッジ方式では、同じ銘柄に複数の建玉を持つことができ、買いと売りを併存させることも可能です。通常の新規注文なら、追加の買いは別の買い建玉、追加の売りは別の売り建玉を作ります。既存の買いの数量が自動で減ると決めつけないでください。[M1]
買い0.10を持つヘッジ口座で、同じ銘柄を新規売り0.10にすると、買い0.10と売り0.10の二つが残る数量の例になります。方向の純差は0ですが、保有そのものが0になったわけではありません。両側の建値、スワップ、手数料、必要証拠金を確認する場面です。
ヘッジ口座で特定の買いを一部閉じたいなら、対象建玉のClose Positionから数量を指定する方法を公式ヘルプで確認します。新規売り0.04を出す操作と、買い建玉を0.04だけ閉じる操作では、残る建玉が異なります。目的を「売りを追加」か「買いを減らす」かに分けます。[M2]
同じ反対取引をした場合の比較表
以下は、買い0.10を保有し、同一銘柄の反対方向の新規売りを全量成立させた仮定です。ヘッジ口座側は、反対建玉が許可されている条件とします。建玉指定の決済を行った場合とは区別して読んでください。
新規売りの数量 | ネッティング | ヘッジ |
|---|---|---|
0.04 | 買い0.06が残る | 買い0.10・売り0.04が残る |
0.10 | 買いが全量なくなる | 買い0.10・売り0.10が残る |
0.15 | 売り0.05へ反転 | 買い0.10・売り0.15が残る |
結果を見るときは、買い量、売り量、純数量、合計保有量を別々に記録すると理解しやすくなります。買い0.10・売り0.10は純数量0ですが、合計は0.20です。買い0.10・売り0.15は純差が売り0.05ですが、合計は0.25です。同じ純差でも、取引の構成は違います。
この違いは「どちらの方式が必ず得か」という順位付けではありません。手動で一件ずつ管理したいのか、合計数量で管理したいのか、利用するEAがどちらに対応するのかで、理解すべき操作が変わります。方式名だけで資金の安全性まで判定しません。
口座の方式は、注文ボタンの色では分からない
公式資料は、管理方式が口座に依存し業者が設定すると説明しています。MT5という同じアプリを使っていても、すべての口座で同じ方式とは限りません。取引している業者、口座種別、サーバー、デモか本番かを確認します。[M1]
口座の公式仕様やサポートで、HedgingかNettingかを確認してください。MQL5ではACCOUNT_MARGIN_MODEという口座プロパティが用意され、関連するHEDGE_ALLOWEDやFIFO_CLOSEなども別項目になっています。ただし、初心者が方式を知るために、不明なスクリプトを口座へ導入する必要はありません。[M5]
すでに同じ正式銘柄の買いと売りが別建玉で残っていれば、ヘッジ方式の挙動を示す手掛かりです。しかし、方式を調べるために本番で買いと売りを試し、余計な費用を発生させることは避けます。公式説明と、現在の建玉の読み取りを先に使います。
PCで、特定の建玉を閉じる確認手順

PCの公式ヘルプでは、取引タブの対象建玉をダブルクリックする、またはそのメニューからClose Positionを選ぶ経路が説明されています。新規注文の入口へ進むのではなく、閉じたい建玉から操作を始めます。[M2]
画面では、銘柄、対象建玉の識別、現在の数量、閉じる数量を確認します。一部決済なら、数量欄は「今回閉じる数量」として読む必要があります。0.10を持ち0.04だけ閉じたい場合、操作後の予定残数は0.06です。残したい数量0.06をそのまま閉じる欄へ入れれば、逆の結果になります。
発注後は、実行結果と取引タブを見ます。閉じるボタンを押せたことと、成立したことは別です。ネットワークや数量の制約などで拒否された場合、建玉は残ります。画面が閉じたことを成功の証拠にせず、現在の保有と履歴まで確認します。
スマホは、対象建玉のメニューと新規注文を分ける
Androidの公式ガイドでも、新規注文の作成と、保有建玉の決済が別の操作として説明されています。チャートのBuy・Sellや新規注文の入口と、取引タブの対象を閉じる経路を区別します。アプリの版や表示言語でメニューの見え方が変わる可能性があるため、現在の公式ヘルプと照合します。[M3][M4]
スマホの注文画面では、直前に使用した数量が引き継がれる場合も案内されています。前の銘柄で使った数量が、次の発注でも同じ適切なサイズとは限りません。買いを閉じるつもりなのか、新しく売るつもりなのかを確認した後、数量を読み直してください。[M4]
小さい画面では、対象の行を押したつもりで隣の建玉を開くことがあります。銘柄と売買方向だけでなく、建値・数量・識別番号を確認できるなら照合します。複数の同じ通貨の買いがあるヘッジ口座では、どれを閉じるかを固定することが大切です。
一部決済の数量と、残せる最小数量
一部決済は、任意の細かい数量を必ず指定できるわけではありません。対象銘柄の最小数量、数量刻み、残る数量の条件を確認します。0.01が最小という例を、すべてのFX・金・指数に当てはめないでください。個別銘柄の仕様を読む必要があります。
架空の最小0.01、刻み0.01の条件で、買い0.10から0.03を決済するなら、予定残数は0.07です。0.005を閉じる入力は、その仮定の刻みに合いません。さらに、保有0.015から0.01を閉じるような例では、残る0.005が許可されるのかを、対象の実際の条件で確認する必要があります。
一部決済に関する問題は、方式の違いと数量の違いを分けて考えます。ヘッジ口座でも正しい指定決済なら数量を減らす方法があります。ネッティングでも、不適切な数量や別の制約で拒否されることがあります。「ヘッジだから一部を閉じられない」という短い結論は避けます。
同方向を追加したとき、平均建値と別建玉の違い
ネッティングでは、同じ銘柄の同方向取引を追加した場合、合計数量と加重平均の建値として確認する場面になります。公式の執行ガイドは、価格×数量を合計して数量で割る計算を説明しています。ヘッジでは、追加した建玉は別の行として管理します。[M2]
架空例として、150円で0.10ロット、151円で0.20ロットの買いが全量成立したとします。加重平均は、(150×0.10+151×0.20)÷0.30で、約150.6667円です。0.10と0.20の数量が違うため、単純に150.50円と平均するのは誤りです。
価格差損益の説明のため、1ロット10万通貨という架空契約なら、合計3万通貨です。149円で全量を閉じた仮定では、最初の1万通貨が1万円の損失、次の2万通貨が4万円の損失で、合計5万円の損失です。方式に応じた表示の違いと、各約定からの計算を対応させる例です。
両建ての純数量0は、取引終了と同じではない
買いと売りが同量なら、一定の仮定では価格変動に対する方向の差が小さくなります。しかし、建玉が両方残るので、スプレッド、手数料、スワップ、口座の制約を確認する必要があります。両建ては、損失を消すボタンでも、無料で時間を止めるボタンでもありません。
同一銘柄の買い0.10と売り0.10を持っている場合、取引を終えるには両側を解消する操作が必要です。買いだけを閉じれば、売り0.10が残ります。相場への方向リスクがなくなったつもりでも、片側を閉じた瞬間に売りのリスクが単独で残ることになります。
両建てを解除するときは、「全部なくす」「買いだけ残す」「売りだけ残す」のどれかを決めます。数量が違う場合は、余る方向と量を先に計算します。合計損益が落ち着いていることを、残す方向を考えずに操作してよい理由にしないでください。
架空の両建てを、価格と損益で読む
米ドル/円、1ロット10万通貨という架空契約で、150.000円の買い0.10と149.500円の売り0.10があるとします。現在Bid149.000円、Ask149.020円で別々に閉じる仮定です。手数料とスワップは含めません。
買いは1万通貨なので、(149.000−150.000)×10,000=−10,000円です。売りは、(149.500−149.020)×10,000=+4,800円です。合計は−5,200円です。売りで利益が出ても、先に発生した買いの損失が消えたわけではありません。
同じ固定スプレッド0.020円という仮定のまま、Bid148.000円、Ask148.020円へ動けば、買いは−20,000円、売りは+14,800円で、合計は同じ−5,200円です。ただし実際のスプレッドと費用は変わり得ます。この例の合計が一定だから、現実の両建て費用もずっと一定とは考えません。
価格差の計算には実際の約定価格を使い、そこへ同じスプレッドを重ねて差し引かないようにします。買いをAskで始め、Bidで閉じた価格差には、その価格関係がすでに反映されています。別途課金される手数料やスワップは、履歴の項目で追加します。
Close Byは、反対方向を新規で出す操作ではない

Close Byは、同じ銘柄の反対建玉同士を対応させて閉じる操作です。ヘッジ方式で使う機能として公式ヘルプに説明があります。チャートから新規売りを追加する操作とは違い、すでに持っている二つの建玉を選びます。[M2][M7]
数量が等しければ、その対応分を両側から解消します。数量が違えば、差の数量が多い側の方向に残ります。買い0.10・売り0.06なら、差は買い0.04です。買い0.05・売り0.12なら、差は売り0.07です。Close Byを押したから保有が全部0になるとは限りません。[M7]
公式ガイドは、別々に閉じる場合と比べ、一つのスプレッド相当を省けることを説明しています。ただし、手数料やスワップまで全部無料になる意味ではありません。利用可否、残る数量、履歴に出る合計損益を確認します。詳しい使い方は別稿候補として扱い、本稿では通常新規との違いを優先します。[M2]
両建ての必要証拠金は、差の数量だけで決めない
ヘッジ建玉に対する証拠金の扱いは、銘柄や口座の設定に関係します。公式資料には、ヘッジ証拠金を考慮する管理方式や、銘柄仕様の証拠金項目が用意されています。買いと売りが同量だから必要証拠金が必ず0になる、という共通ルールにはしません。[M5]
買い1ロット・売り1ロットで純数量0でも、必要証拠金がある口座なら余力を使います。片側を閉じた後に、残った片側の必要額や余力の表示がどう変わるかも確認が必要です。両建て前後、解除前後の口座状況を、同じ計算式で決め打ちしないでください。
資金の余裕を見るときは、残高だけでなく、評価損益を含む有効額、使用中の証拠金、余力などの表示を確認します。方式の理解は注文管理に必要ですが、口座のロスカット条件まで自動的に理解できるわけではありません。個別口座の公式条件を別に読みます。
スワップと手数料は、買いと売りを分けて計上
買いと売りのスワップは、必ず同じ金額で反対符号とは限りません。架空例として買い+100円、売り−150円が同じ数量・同じ付与日の値なら、両側合計は−50円です。三日間、同じ額が一日ずつ付く仮定なら−150円になります。実際の付与日数や倍率は対象のカレンダーで確認します。
手数料も、1ロット片道か、往復か、実際の約定数量あたりかを確認します。買いと売りの新規を作り、後で両方を閉じると、二つの建玉について費用が発生し得ます。純数量0を基準に「取引していないから手数料0」と計算しないでください。
表示損益が価格差のみか、手数料・スワップまで含んだ合計かも分けます。すでに合計に含まれた手数料を別にもう一度引けば二重計上です。方式による建玉行の違いに加え、履歴の項目の意味も確認すると、資金が減った理由を追いやすくなります。
反転は、閉じる分と新しく持つ分の合計で考える
ネッティング口座で買い0.10を売り0.10へ反転したい場合、反対取引の必要量は0.20です。0.10は買いを閉じる分、残り0.10は新しい売りを持つ分になります。売り0.10を出せば保有0になる数量計算です。[M1]
公式の一括操作には、ネッティングで建玉を反転する機能の例がありますが、ワンクリック設定や口座制約に関係するため、画面にある機能と結果を確認します。「反転」という言葉を、新規売りの一般ボタンの説明と混同しないでください。[M2]
ヘッジ口座で方向を変えるなら、古い建玉の決済と新しい方向の建玉を作ることを区別します。新規売りだけでは買いが残る可能性があります。目的が売りだけの保有なら、最終状態が買い0・売り予定量であることまで確認します。どの順番が有利かを、本稿で相場判断として推薦はしません。
SL・TPは、増減後に現在の値を確認
ネッティングとヘッジでは、SL・TPの引継ぎの扱いにも違いがあります。公式ヘルプは、ネッティングの数量増加や反転、新規注文の値、一部決済時の条件を説明しています。数量を変えた後も、以前の保護が思いどおり残ると推測せず、現在の建玉で確認してください。[M1]
例えば、買いを一部減らした後に残りがあるなら、残り数量にどのSL・TPが付いているかを見ます。ヘッジで新しい売りを追加した場合、その売り建玉は独立して管理する対象です。買いにあるSLが、新しい売りも同じように保護するわけではありません。
SL・TPの削除や変更をEAが行う場合は、手動操作と並行して条件が変わる可能性があります。画面を見た瞬間の値だけで、数分後も同じだと考えないでください。自動売買の設定、注文履歴、変更ログを合わせて確認し、手動で閉じた建玉をEAが再び作る条件がないかも調べます。
一括決済でも、残る建玉を確認する
MT5の公式ガイドには複数建玉をまとめて閉じる操作があります。ただし、利用できるメニューは口座や設定に依存し、エラーが出た建玉が残るケースの説明もあります。すべてが同じ瞬間に、必ず同じ条件で閉じるという理解は避けます。[M2]
一括操作の後は、取引タブを再確認し、残った建玉の銘柄・方向・数量を読むことが必要です。買いと売りを持っていた場合、一方だけが残ると、以前の両建てとは価格変動の影響が変わります。合計損益が見慣れた額でも、方向のリスクが変わったことを認識してください。
一括決済の途中で端末を閉じると、まだ処理されていない建玉が残る可能性についても公式案内があります。処理途中の画面を閉じて作業終了にせず、結果を確認します。操作の簡便さと、全建玉が実際になくなったことは別です。[M2]
方式がヘッジでも、反対建玉が禁止される場合
管理方式と、反対建玉を許可するかどうかは別の条件です。MQL5の口座プロパティにはHEDGE_ALLOWEDがあり、戻りコードには反対建玉禁止のHedge prohibitedが用意されています。方式がHedgingだから、必ずすべての銘柄で反対建玉を作れるとは断定しません。[M5][M6]
FIFOによる決済順序の制限も別項目です。複数建玉を自由に選んで閉じられると思っていたのに、古い順でしか決済できない口座なら、対象指定が拒否される場合があります。公式のコード一覧ではFIFO closeが区別されています。[M6]
この場合、解決のために違う銘柄を反対方向で持つことを勧めません。通貨名が似ていても価格や契約が違えば、同じ取引の解消になりません。拒否の文言を記録し、口座の公式条件をサポートへ確認するのが先です。
銘柄名が似ていても、同一銘柄とは限らない
USDJPYと末尾の異なる銘柄、XAUUSDと別契約の商品などを、表示の中心部分だけで同じと判断しないでください。ネッティングの数量相殺やClose Byの説明は、同一銘柄の条件です。似た値動きをする二つの商品を保有しても、一つの買いが閉じるわけではありません。
口座が違う場合も、取引は別に管理します。別口座で反対の売りを作ったことは、元口座の買いを決済したことにはなりません。合計の方向差を小さく見積もれても、それぞれの口座で必要証拠金やロスカット、費用が発生し得ます。
確認表には、通貨名を略さず正式銘柄、口座、サーバーまで記録します。元の買いと新しい売りが同じ画面にあるように見えても、どの口座の履歴を読んでいるかを固定してください。画面の切替で対象を失うことが、建玉を見落とす原因になります。
EA・コピー取引が並行している場合

自分が買いを閉じても、EAが次の条件で買い直せば、取引タブには再び買いが現れます。これを「決済できていない」とだけ判断すると、何度も閉じる操作を繰り返し、約定と費用が増える可能性があります。決済前後の識別番号、開始時刻、数量を比べます。
ヘッジ用のEAをネッティング口座で使うと、複数建玉を別々に管理する想定と、一つに集約する口座の挙動が合わない場合があります。対応方式、同じ銘柄での複数建玉管理、手動決済後の再発注条件を、配布元の公式仕様で確認します。利益の宣伝だけでは、操作互換性を判断できません。
検証時は、どのプログラムが稼働しているかを整理し、自分の操作以外で注文が変わる条件を記録します。ただし、停止だけで保有が自動解消されると決めつけないでください。自動発注の停止、予約注文の取消、保有建玉の決済は、それぞれ別の作業です。
実際のエラーから原因を切り分ける
決済を選んだのに失敗する場合、方式だけが原因とは限りません。公式コード一覧には、決済数量超過、既存の決済注文、FIFO順序、反対建玉禁止などが別々に掲載されています。表示された数字をそのまま記録し、対象を確認します。[M6]
コード | 公式の意味 | 調べる入口 |
|---|---|---|
10036 | Position closed | 対象建玉がすでにないか |
10038 | Invalid close volume | 保有量より多く閉じようとしていないか |
10039 | Close order exist | 既存決済要求と数量の重なり |
10045 | FIFO close | 指定順序が口座条件に合うか |
10046 | Hedge prohibited | 同銘柄の反対建玉が禁止されていないか |
番号は原因の分類であり、どの建玉をどう操作すればよいかを自動で決めるものではありません。例えば10036が出たら、古い建玉番号への要求なのか、すでに約定して閉じたのかを履歴で確認します。見えない建玉を閉じるために新規売りを出し直すのは、別の取引になります。
履歴の読み方:方向だけでなく、入る・出るを確認
売りの約定が記録されても、それが新規売りか、買いを閉じる取引かを区別する必要があります。MT5では注文・約定・建玉が関連する識別情報を持ち、履歴で追えるように設計されています。方向のSellだけを決済完了の証拠にしないでください。[M1]
例えば、買い建玉番号Aを閉じるつもりだったなら、現在のAが残るか、Aに対応する決済があるかを確認します。新しい売り建玉番号Bができ、Aも残るなら、当初の目的と違う可能性があります。画面が表示する番号の種類が注文か約定か建玉かも区別します。
記録の期間を短くすると、建玉開始時の約定が見えない場合があります。取引タブの現在保有と履歴の期間を照合し、必要な開始・決済が入る範囲を選びます。期間の外にある行を「存在しなかった」と扱うことは避けます。
問い合わせに使う、操作前後の数量表
サポートへの説明では、建玉をどう変えたかったかと、実際どうなったかを並べると伝わりやすくなります。「反対売買したのに変です」より、買い0.10を0にしたかったのに、買い0.10・売り0.10が残ったと書く方が、方式の違いを確認できます。
項目 | 記録の例 |
|---|---|
口座 | 業者・口座種別・サーバー・デモ/本番 |
銘柄 | EURUSDの末尾を含めた正式名 |
操作前 | 買い0.10、売り0 |
目的 | 買いを全量閉じて保有0にする |
実際の操作 | チャートから新規売り0.10 |
操作後 | 買い0.10、売り0.10 |
表示結果 | 約定したか、拒否コードがあるか |
自動取引 | EA・コピー取引の稼働状況 |
文章例は、「この口座はヘッジ方式ですか。買いを閉じる目的で新規Sellを実行し、別の売りが残りました。現在のアプリで対象買いを指定して決済する手順と、両建ての必要証拠金を確認したいです」です。公式の本人確認手段に従い、パスワードや認証コードは文章に書きません。
デモで理解する四つの練習

第一の練習は、新規買いの後に、取引タブの対象建玉を指定して閉じることです。第二は、一部決済の予定残数を先に書き、結果と比較することです。第三は、公式に許可されるデモで、新規の反対売買をした結果が、口座の管理方式の説明と一致するかを確認することです。
第四は、操作前後の注文・約定・建玉の関係をメモすることです。利益が出たかよりも、どの取引が新規で、どれが決済で、現在どの方向を保有しているかを追います。これらの練習は画面の理解を目的とし、デモの約定を本番の条件保証には使いません。
特に反転の練習では、元の買い量と目標売り量を足した取引量を、純数量の式で確認します。ヘッジの場合は、その式だけで同じ結果になるとは限らないことを合わせて理解します。方式を変えると結果が違う、という知識を数字に結び付ける練習です。
理解確認:四つのケース
ケース1です。ネッティングで買い0.20があり、新規売り0.08が全量成立しました。ほかの取引がない仮定では、買い0.12が残ります。売り0.08の建玉が別にできたとは読みません。実際の口座では、現在の残数で確認します。
ケース2です。反対建玉が許可されるヘッジ方式で同じ操作をした場合、買い0.20・売り0.08が残る新規取引の例になります。純差は買い0.12、合計保有量は0.28です。ケース1と純差が同じでも、建玉と費用の管理は違います。
ケース3です。買い0.20・売り0.08を同一銘柄のClose Byで対応させると、数量差の買い0.12が残る例になります。Close Byという操作名だけで全量0とは判断しません。ケース4では、ネッティングの買い0.20を売り0.05へ反転する数量は0.25です。0.20の解消と0.05の新規分を足します。
FAQ:反対売買で迷いやすい点
MT5はすべてヘッジ口座ですか?
いいえ。公式資料はネッティングとヘッジの二方式を説明し、口座によって業者が設定するとしています。同じアプリを使っているというだけで、全業者・全口座の方式を断定できません。利用口座の公式仕様を確認してください。[M1]
Sellを押したのにBuyが残るのは注文失敗ですか?
ヘッジ口座で新規売りが成立した場合、別建玉が追加された可能性があります。買いを閉じたいなら対象指定決済と区別します。拒否が出た場合は、そのコードも確認します。Buyが残るという結果だけで、売りが成立していないとは判断しません。
同量の買いと売りなら損失はなくなりますか?
なくなりません。両側の建値による価格差損益や、費用が残ります。純数量0でも取引が終了したわけではありません。損失を回復するために新規の反対取引を追加することを、本稿で解決策として勧めてはいません。
ヘッジ口座では一部決済ができませんか?
対象を指定し、閉じる数量を入れる方法が公式ヘルプにあります。最小数量、刻み、残数、口座制限を確認してください。新規の反対方向取引が別建玉になることと、対象指定の一部決済ができることは区別します。[M2]
口座の方式をアプリ設定だけで変えられますか?
公式資料では、方式は口座に依存し業者が設定すると説明されています。全口座でユーザーがアプリから任意に切り替えられるとは言えません。変更や別口座の可否は正規サポートで確認し、保有中の取引を自動移行できると推測しないでください。
Close Byが見えないのはなぜですか?
ネッティングでは使う機能ではありません。また、同一銘柄の反対建玉があるか、対象口座で許可されるか、利用画面に対応するかを確認します。見えない機能を出すために本番で余計な反対建玉を作ることは避け、公式条件を調べます。[M2][M7]
買いを全量閉じた後に、売りだけが残りました。どう考えますか?
ヘッジで両建てを持っていたなら、買いだけを閉じ、売りが残った可能性があります。ネッティングなら、大きな反対取引によって反転した可能性もあります。元の数量、実際の操作、現在の方式を照合して判断します。再び買いを押す前に、残った売りのリスクを確認します。
EAを止めれば両建ても消えますか?
停止と建玉決済は別です。EAの停止機能で何が行われるかは、そのプログラムの仕様に依存します。停止後の注文と建玉を確認してください。自動売買を止めたつもりでも、既存建玉やサーバー上の予約が残る可能性を考えます。
両建ての費用が分かりません。どこから始めますか?
買いと売りを別にして、各数量、建値、決済価格、手数料、スワップを並べます。表示の合計に何が含まれるかを確認し、同じ費用を二重に引かないようにします。口座の方式だけで費用を推定せず、実際の明細と公式の単位を使ってください。
公式リンクと、取引相手を調べる入口
方式の確認はMT5公式のBasic Principles、対象決済はExecuting Tradesから読めます。Androidの操作は、対応する公式モバイルヘルプを確認してください。使う口座の設定は、取引相手の正規サポートへ問い合わせます。
金融庁は、取引前に相手の登録を確認し、無登録の海外所在業者との取引を行わないよう注意喚起しています。ヘッジ方式が選べることやMT5が使えることは、日本の登録を確認したこととは別です。本稿は特定の海外口座を新規開設させる申込記事ではありません。[R1]
買いを終わらせる目的なら、買いの残数を確認し、売りを残す目的なら、その数量と保護を確認します。操作の名前ではなく、取引後の状態を判断基準にしてください。新規・決済・両建て・反転を区別できれば、同じBuy・Sellの表示でも、意図した取引管理へつなげられます。
出典・確認記録
- [M1] MetaTrader 5:Basic Principles・Netting and Hedging
- [M2] MetaTrader 5:Executing Trades・Closing Positions
- [M3] MetaTrader 5 Android:Trading Principles
- [M4] MetaTrader 5 Android:Opening and Closing Positions
- [M5] MQL5:Account Properties
- [M6] MQL5:Trade Server Return Codes
- [M7] MetaTrader 5 Android:Close By
- [R1] 金融庁:無登録の海外所在業者による勧誘にご注意ください
2026年10月2日に主要仕様を公式公開資料で執筆前に確認。反対方向の新規と、対象指定決済を分けた。数量・価格・スワップは架空例で、実際の価格・費用ではない。個別口座の方式・反対建玉許可・ヘッジ証拠金・FIFO・Close Byの利用可否、操作と約定は未実測。公開前に実際の口座条件と最新画面を再確認する。




